バッティングの上達には、素振りは絶対に欠かせませんが、必ずしも万人に効果があるわけではありません。
また、素振りというと多くの人が回数ばかりを気にしますが、それは大きな間違いだということ。そして、どうすれば質の高い素振りで効率的に上達していけるのか、正しい素振りの仕方とはどういうものなのかについて、じっくり解決していこうと思います。
もくじ
小学生に素振りはいらない。
楽しむから上手くなる
やりたい子は全然やっても構わないですが、基本的に子供は素振りが嫌いです。なぜなら楽しくないからです。ボールを打ってるほうが楽しいのです。
楽しいことは勝手に上手くなっていきますが、つまらないことは何をやっても上手くなっていきません。
なので、子供には素振りよりも、ひたすらボールを打たせる練習をしたほうが健全に上達していきます。
「楽しい」から生まれるもの
・継続性
・探究心(なぜだろう?)
・攻略法さがし
・悔しさ
ボールに当てる訓練が先
そもそも、ボールに当てるだけの最低限の技術がない段階で素振りを取り入れたところで、おそらく当たるようにはならないし効率的でもありません。
理想としては、
・ボールへの慣れ
・バットへの慣れ
この2つを同時に満たすような練習が子供には必要です。
◆練習方法についてはコチラ
少年野球で抜きん出るために必要なバッティング上達法の全て
素振りは、バット扱いを覚えるための訓練なので、ボールに慣れる訓練ではありません。
よって、子供には素振りではなく、実際に打たせまくることが最も重要な練習になります。遊び半分で構いません。「イチローの真似~」とか言いながら、ただただ楽むことが凄く大切な要素なのです。
ある程度、自然にボールが打てるようになってきたら、少しずつ素振りを取り入れていきます。
素振りの効果
➀コミュニケーション
素振りの一番のメリットは「コミュニケーション」にあります。コミュニケーションとは、体とバットとのコミュニケーション。つまり、バットを体の一部に近づけていく作業です。
バッティング上達に素振りが必要な理由は、本質的にはこういうことなのです。
②スイングスピードUP
素振りを中心に練習していくことで、スイングスピードは上がっていきます。振れば振るほど、バットの扱い方に慣れていくので、どこで力を入れて、どこで抜けばいいのか?を体が自然と理解していきます。
③フォームチェック
素振りにはフォームチェックの役割もあります。鏡を見ながらチェックしてもいいですし、スイング音から今の状態をチェックしてもいいでしょう。
いずれにしてもフォームチェックが必要な場合は、素振りとスローボール打ちが有効です。
④フォーム作り
フォーム作りといえば素振りです。例えば、自分が絶対にマスターしたい技術が見つかったら、それを徹底的に体にすり込んでいくわけですが、それに最も適した練習こそ素振りなのです。
これは実際にボールを打ちながらであっても出来ないことはないですが、それだとどうしてもボールに合わせたり、打球を気にしたりするので素振りに比べると、やはり効果は薄くなります。
⑤苦手コースの克服
これはコース以外でも苦手な球種、苦手なピッチャーなど、設定は自由です。これはイメージが全てなので、自分が完璧にとらえてるイメージで振れるかどうかがポイントです。
今は苦手なコースでも何度も練習していくと意外と得意に変わったりするものです。
⑥無駄な動作が削れていく
これはあまり言われていませんが、素振りを繰り返し行うことで、無駄な動きがどんどん削られていきます。
ただし、これに関しては量とか数がとても重要であって、「少ない数で効率よく」みたいな人には、このメリットは体感できません。
数とか量が、ある一定のラインを超えると、つかめる感覚があります。この作業はとても重要です。
⑦ダイエット(お腹の引き締め)
おまけですが、素振りにはダイエット効果も間違いなくあります。
素振りは、体幹のひねり運動ですから、お腹の引き締めに確実に繋がります。
左右で同じ数スイングすれば、数にもよりますが割と早めに効果は実感できるはずです。
「素振りで筋肉はつかない」はウソ
100%素振りで筋肉はつく。
「つかない」と言ってる人は、おそらく野球初心者か、まともにスイングが出来ない人かのどっちかで、自分が体感していないから分からないのだと思います。
確実に言えることは、しっかりと強いスイングで素振り、ないしはバッティングを行えば、打撃筋は着実についていきます。
多くの人が勘違いしているのは、ベンチプレスでつけた筋肉のように、大きくなった=筋肉がついた。と思い込んでいますが、それだけじゃありません。
ジワジワ筋肉が付いていく
筋トレのように派手さはないので実感しにくいですが、素振りはジワジワと地味に筋肉がついていく練習です。
実感として大きくなっていなくても、実際は筋肉は着実についています。
例えば、スイングをする時の体重移動では、「内転筋」を使いますが、素振りをすることでこの内転筋はしっかりと発達していきます。
他にも、スイングの際には外腹斜筋、腹直筋、背筋を使わないと振れないので、素振りをして振り込むことで当然このあたりの筋肉も発達していきます。
つまり、素振りによって筋肉はつくのであり、それに気づかない僕らが鈍感なだけだということです。
マスコットバットやリングを使う意味
マスコットなどの重たいバットは、単純にパワーをつける以外にも、大事な意味があります。
スイングは基本的にバットの重さを利用して振らないと良いスイングは出来ません。そのため、マスコットやオモリを使うことで、重さを感じながら振る、意識の再確認ができます。
ですから、プロでもよく打席に入る前に使用していますが、あれは一般的に言われているような「少しでもスイングスピードが上がるように」という意味では全くないのです。
素振りの仕方
ピッチャーをイメージする
相手投手のフォーム、右投げか、左投げか、セットポジション、クイックモーションなど自由に敵を想像して素振りをします。
もちろん、球筋もイメージしましょう。
試合前日には対戦相手をイメージして素振りすることも準備としては必要です。
ストライクゾーンを9分割にする
ストライクゾーンを9個のコースに区切り、各コースごとに振ってみて自分のスイングをチェックします。
苦手なコースであっても反復して振ることで、少しずつ克服していくことができます。
打球を意識する
「どこに打球を飛ばすか?」もイメージできると、なお良いです。
試合では状況によって求められるバッティングが常に変わります。右方向へ打つのか?犠牲フライでいいのか?ゴロを転がすのか?などなど、試合を想定して振っていけると、より中身の濃い練習になります。
正しいフォームで振る
◆フォームに関してはコチラ
素振りの種類
➀ふつうの素振り
試合の打席をイメージしながら振る、いわゆる一般的な素振り。
②速振り(30秒スイング)
【方法】時間を決め、できるだけ高速でバットを振る。
【注意】トップの位置まで必ずバットを戻してから振ること。
【効果】ドアスイングの矯正と瞬発力アップ
③歩行スイング
【方法】歩きながらバットを振る(右打者の場合:右足→左足→右足→スイング)
【注意】スイングの前に、軸足にしっかり体重を乗せて”タメ”を作る。
【効果】スムーズな体重移動を覚える。手打ちの人、下半身を上手く使えない人に有効。
④逆グリップ
【方法】通常のグリップと反対で握ってスイングする。
【効果】バットがスムーズに出てこない人に有効。
⑤片手スイング
【方法】片手でバットを握りスイングする【効果】両腕(上半身)の役割を確認するのに有効。体の使い方が悪いと上手くスイングできない。
⑥大股スイング
【方法】できるだけ足を開いた状態で振る【注意】軸足から前足へしっかり送り込む意識で体重移動をする。
【効果】下半身の使い方や役割を再確認できる。上半身のパワーに頼りがちな人に有効。
⑦バランスボール振り
【方法】バランスボールに座った状態でスイングする
【効果】バランスが良くなるのと、体幹の使い方が身につく。体の中心軸がぶれやすい人に有効。
⑧竹振り
【方法】竹ざお(長いバットなど)で振る
【注意】力に頼らずに全身のバランスを意識して振ること。
【効果】スイングの安定性を強化する
⑨タオル振り
【方法】タオルをバット代わりにして振る
【効果】下半身を使ってスイングする感覚が身につくので、腕だけで振ってる選手の矯正になる。
さらにバットを使い分ける
試合用バット
基本的には、この試合用バットで振り込んでいきバッティングを作りあげていきます。なので、一番コミュニケーションを取っていかないといけないバットです。
マスコットバット
パワーアップのために使います。重さについては、何本か使い分けてもいいですし、どんなに重たくてもOKです。要は、普段より負荷をかけたいだけなので、体が壊れない範囲に振ってもらえればと思います。
軽量バット(ノックバットなど)
スピードや、スイングのキレを出したい時に有効です。もちろん、コツをつかむ為にも使えます。できればノックバットのように、なるべく長めのバットを使ったほうが効果は上がるはずです。
素振りの回数はどれくらい必要か?
バットが振れなくなるまでです。
というのも、数をかぞえながら素振りをしていると、回数のことばかりに意識が向いてしまい、上達することよりも回数をクリアすることのほうが優先的になってしまいます。
つまり、ろくな練習にならないということです。
技術を身に付けたいのか?
素振りの回数をクリアしたいのか?
どっちなんだ?という話になるのです。
上手くなりたいのであれば、数なんか意識せず、体がヘバるまで、あるいは納得がいくまで振り続けることが、考え方としては間違いなく自然です。
素振りで出来るマメの位置
マメができるのは良いこと?悪いこと?
イチロー選手は、以前
素振りで、手にマメができるのは二流選手だ。
こういうことを言ってましたが、結論をいうと、一流の中でもイチロー選手のようにマメができない選手もいれば、王さんのようにマメだらけの選手だっています。
つまり実際は、良いも悪いもありません。
ですから、一般人である僕らは、とりあえずマメができるのは当たり前のことなので、たくさん振り込んでガンガン、マメを作って問題ありません。
良い位置、悪い位置
マメができる位置は、基本的には下の写真のように「両手の小指周辺」であれば、スイング的には悪くありません。
練習不足の選手や、初心者の選手は右打者なら左手親指の第2関節の上にできます。あるいは、両手の人差し指から親指にかけてできます。
俗に「へたくそ豆」といわれますが、最初のうちは仕方がありません。これは振っていくうちに変わってくるので、まずは最低限の知識を覚えることと、練習量をこなすことに集中しましょう。
マメの位置でなぜ分かるのか? ・下手な選手は、必要以上に力を入れてバットを握るため、小指周辺以外のところにまでマメができる。 |
マメができた時の対処法
水ぶくれの時
水ぶくれの際にはまず溜まっている水を清潔な針などを使って抜いていきます。
溜まっている水が抜けたらその上から絆創膏やガーゼなどで保護していきます。
皮が破れてしまった時
破れた皮をできるだけ綺麗に切り取っていき、乾燥させます。
皮がむけて痛い時
練習中に痛む場合は、テーピングを巻いて、バッティング手袋をはめましょう。
初めのうちは皮は薄いので、どうしても痛いですが、少しずつ皮は厚くなり硬くなっていくので、ある程度の我慢は必要です。
参考図書
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