ホエイからエッグまで7種類のプロテインの原料・成分・効果を解説!

プロテインの種類は実はこんなに!?

あまり知られていませんが、プロテインというのは「ホエイ」だけではなく、実はたくさんの種類が存在しています。まずは下記の表を見て、それぞれの違いを大まかに理解しておきましょう。

動物性 ホエイプロテイン
カゼインプロテイン
エッグプロテイン
ビーフプロテイン
植物性 ソイプロテイン
ピープロテイン
ライスプロテイン

基本的に、動物性植物性の2つに分類される

 

種類が違うのは「原材料」が違うから

店頭に並ぶさまざまな種類のプロテイン。これらの大きな違いは「原材料」にあります。 今回は、それぞれのプロテインの特徴について知名度の高い順から見ていくとしましょう。

 

❶ ホエイプロテイン

原料には牛乳から作られるホエイ蛋白(乳清)を使用。牛乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた水溶液です。

ホエイプロテインの主な特徴は以下のようになります。

 BCAAの含有量が25%と多い
 免疫向上に効果のあるホエイペプチドが多い
 吸収が早い(30分~3時間)
 美味しい、飲みやすい
 安い

また、ヨーグルトを静かに放置しておくと上部に液体が溜まる事がありますが、この液体もホエイです。

ホエイプロテインは水溶性なので吸収スピードは速めです

 

ホエイには4つのタイプがあります

➀WPC製法(コンセントレート)

「濃縮乳清タンパク質」の略で、乳糖が残りやすい状態になっています。乳糖不耐症を持つ人にとっては、お腹が張ってごろごろする原因となる場合もありますが、乳清に含まれるビタミンやミネラルをできるだけ多く摂取することができるメリットがあります。タンパク質含有率が約80%の製品はこの製法で作られていることが多いようです。

②WPI製法(アイソレート)

「分離乳清タンパク質」の略で、タンパク質以外の成分はほぼ除去されて高濃度のホエイタンパクが作られます。タンパク質含有率も約90%と高く、お腹の不調になりやすい乳糖の含有率も非常に低いため、乳糖不耐症の方にも適した製法といえます。

③WPH製法(ハイドロライズド)

「加水分解乳清タンパク質」の略で、微生物に含まれる酵素などを使いWPCをペプチド状態(アミノ酸が数十個つながった状態)に分離したものです。タンパク質含有率が約95%と高くなり、吸収スピードも最速となります。価格も一気に跳ね上がります。

④CFM製法(クロスフロー精密濾過)

CFM製法は、WPCとWPIの両方の利点を残し、必要な栄養素を残しながら精製するプロテインです。若干の脂肪や乳糖は残ってしまいますが、ビタミンやカルシウムなどの有益な成分を同時にとりつつ、吸収スピードも速いのが特徴です。

 

同じホエイでも、それぞれの製法によって、タイプも金額も大きく変わります

 


最速で筋肉つけるなら『ホエイ・アイソレート』にしなさい!


 

 

❷ カゼインプロテイン

ホエイプロテインと同じく牛乳を主成分としているのがカゼインプロテインです。

カゼインプロテインの主な特徴は以下のようになります。

 吸収スピードが遅い(約7時間)
 BCAAはやや少なめ(約19%)
 筋肉の分解をおさえる
 ホエイよりも、やや高値

吸収スピードが遅いのはナゼ?

カゼインの成分には、チーズやヨーグルトを固める作用があり、牛乳に含まれる乳タンパク質の約80%を占める。一般に乳固形分と呼ばれる成分の主要成分の一つであり、ホエイよりも濃厚で重たいのが特徴です。

牛乳アレルギー症状を起こす人の多くは、カゼイン(α-カゼイン)が原因であると言われています。

カゼインの特徴

筋肉の分解(パワーダウン)をおさえる

カゼインプロテインは不溶性で固まりやすく、体への吸収速度がスローであるのが最大の特徴です。ホエイと比べると、BCAA(必須アミノ酸)は約20%と少なめですが、筋肉の分解をおさえる作用に関しては、ホエイよりもはるかに高い作用があります。

カゼインの製法は2種類

カゼイン塩とカゼインミセルに分けられます。カゼイン塩は化学薬品によって精製する際にたんぱく質が破壊されてしまいます。そのため、選ぶならカゼインミセルの製品を選ぶようにしましょう。

高級アイス=カゼイン

余談ですが、皆さん大好きなアイスクリームも、これらの乳固形分と乳脂肪分が多く含まれていればいるほど高級アイスとされ、風味がよく濃厚で栄養的にも優れているプレミアムアイスクリーム扱いとなるわけです。

 

 

❸ ソイプロテイン

ソイプロテインの原料は、その名の通り大豆のタンパク質部分だけを粉末にしたものです。

ソイプロテインの主な特徴は以下のようになります。

 植物性タンパク質
 吸収スピードが遅い(約6時間)
 グルタミンやアルギニンを多く含む
 イソフラボンが含まれる

ソイプロテインは、タンパク質の比率を高め水分や糖質、脂肪を減らし植物性タンパク質を効果的に摂取できるようになっています。

おもな成分

疲労回復に効果抜群

グルタミンやアルギニンを多く含む為、筋肉の分解を防いだり、疲労回復に効果があると考えられます。

健康・美容・肥満防止にも最適

ソイプロテインはカゼインプロテインと同じく消化吸収速度がゆっくりのため、満腹感が持続しやすいです。加えて、大豆に含まれるイソフラボンの効果で皮膚や骨の強化、血流改善が期待できます。

価格は比較的安いですが、ホエイなどと比べると、どうしても粉っぽくて溶けにくく飲みづらいのが難点です。

 

❹ エッグプロテイン


エッグプロテインの原料は卵で、鶏卵などの卵白を使用して作られた動物性プロテインです。

エッグプロテインの主な特徴は以下のようになります。

 動物性タンパク質
 タンパク質含有率は約80%
 BCAAやアルブミンが豊富に含まれている
 吸収スピードは速め(1時間~3時間)
 脂質、糖質、コレステロールが少ない

おもな成分

アルブミンが豊富

エッグプロテインは、ほかのプロテインにはない特徴を持っています。それは「アルブミン」を含んでいることです。

アルブミンとは?

卵白の構成タンパク質のうちの約65%を占める主成分タンパク質で、体中に様々な成分を運搬するという働きを持つ「運び屋」です。おもな仕事は、血液や細胞に効率良く栄養を運んだり、血中の毒素を体外に排泄することなどです。

アルブミンは、体内に吸収されると筋肉の組織に変化しやすいという特徴を持っています。そのため、エッグプロテインを摂取して運動をすることで、摂取したたんぱく質の多くが筋肉に変換されやすくなります。

脂質、糖質、コレステロールが少ない

これらのことから、エッグプロテインは減量しながら筋肉をつけたい人に非常に効果的です。あるいは、牛乳を原料としたプロテインが体質的に苦手で、ホエイ並みの効果がほしい人にもぴったりのプロテインです。

生で飲み込む人も多い

安価で質の良いホエイプロテインに押され、高額なエッグプロテインは市場ではほとんど見かけないのが現状です。卵の白身だけを摂取すればいいので、特にプロテインということを気にしなければ調達自体は簡単です。

 

❺ ビーフプロテイン

原料に牛肉などのスジ肉やホルモンを使用して作る動物性プロテイン。アメリカでは通常廃棄されてしまう部位を使って作られています。日本では製造していないので海外の商品を買うしか方法はありません。数自体もとても少なく高値です。

ビーフプロテインの主な特徴は以下のようになります。

 一食分でステーキ約20倍のクレアチンを配合
 一般的なプロテインやサプリメントなどよりも遥かに高いアミノ酸レベル 
 脂肪、コレステロールともに0% 
 牛肉が材料の為、ビタミンB群が豊富 
 ホエイプロテインよりも栄養素が濃縮されている

おもな成分

一食分でステーキ約20倍ものクレアチンを配合

クレアチンとは?

筋肉の中に存在している有機酸の一種で、爆発的な瞬発力を生み出すために必要な「特殊な燃料」の役割を果たしています。車でいうところのハイオクガソリンです。

クレアチンが体内に多く存在すれば、より多くの燃料(クレアチンリン酸)を体内に溜め込んでおけるので、大きなパワーを発揮できるようになります。食材では、肉と魚に多く含まれ、植物にはほとんど含まれていません。

タンパク質(アミノ酸)を肉から取るには最低1000gは必要

「タンパク質の塊」という印象の、鶏むね肉(皮なし)でさえも100gあたりに含まれるタンパク質量は、わずか24.4gです。鶏むね肉(皮あり)にいたっては19.5g程度しか含まれてなく、残りの65~70%はただの水です。つまり、純粋に肉だけから取ろうとすると、あまりに効率が悪すぎるわけです。

 

 

❻ ピープロテイン

原料にはエンドウ豆などの天然酵素を使用。

ピープロテインの主な特徴は以下のようになります。

 植物性プロテイン
 アレルゲンが含まれていない
 BCAA(必須アミノ酸)が豊富
 タンパク質は少なめ

おもな成分

アレルギーの人でも安心

人によっては牛乳、卵、大豆などに対してアレルギーがある人がいますが、エンドウ豆を原料としたピープロテインの場合は、アレルギーの原因となる成分が含まれていません。ですから、アレルギーでタンパク質が足りなかった方でも安心して飲めるプロテインとなっています。

1食分で約3000~4000mgのBCAA

BCAAとは?

「Branched Chain Amino Acid 分岐鎖アミノ酸」の略で、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸の総称です。この3つのアミノ酸はヒトが体内で作ることが出来ない必須アミノ酸とされています。

BCAAは、筋タンパク質の中に非常に多く含まれていることから、筋肉にとって非常に重要なアミノ酸であると、注目を集めています。ピープロテインはBCAAを多く含むため、サプリメントなどを飲まなくてもプロテインだけでBCAAを補うことが可能になります。

ピープロテインに含まれるBCAAの割合
ロイシン(50%) バリン(26%) イソロイシン(24%)

ただ、このピープロテインもビーフプロテイン同様、数が少なく高価であるため今のところは海外から入手するしか方法はありません。

 

❼ ライスプロテイン

ライスプロテインの原料は、発芽玄米から作られていて天然酵素を使用しています。アレルギー物質は、ほぼゼロで腸内が敏感な方などに優しい仕上がりになっています。

ライスプロテインの主な特徴は以下のようになります。

 お米自体、アレルギーの可能性が低い
 ビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富
 消化しやすく腸にも優しい
 お米なので炭水化物(糖質)は多め

おもな成分

他のプロテインよりも栄養満点

穀物由来なのでビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富で、通常の大豆プロテイン、ホエイプロテインより消化がしやすいため、赤ちゃんからお年寄りまで使えるやさしいプロテインです。

筋力アップに関してはホエイよりも効率が悪い

タンパク質含有率は約80%で悪くはないですが、アミノ酸スコアはホエイなどと比較すると低めです。ですから、筋肉のためのタンパク質補給よりは、朝食や間食としてとるのがオススメです。

 

まとめ

優秀なプロテインはどの種類?

どんなにタンパク質を多く含む食品でも、肝心のアミノ酸がバランスよく豊富に含まれていなければ、いくら摂取しても、カラダにとって有益な働きはしてくれません。

 

「PDCAAS」と「DIAAS」のスコアで比べましょう。

PDCAASとは?

たんぱく質の「消化吸収率を補正したアミノ酸スコア」の略で、食品のそれぞれの消化吸収率を数値化したものです。

PDCAAS(たんぱく質消化性補正アミノ酸スコア)は、プロテインスコアやアミノ酸スコアと違い、含まれているアミノ酸の組成だけでなく、そのたんぱく質がどのくらい消化されやすく、体内で利用されやすいかを総合的に判断したものです。

DIAASとは?

「消化不可能なアミノ酸スコア」の略で、PDCAASよりも、たんぱく質の吸収率をより正確に評価し、たんぱく質源をより詳細に区別することを可能にした計算方法です。

PDCAASのスコアは100%を超えた値を切り捨てて、すべて100%と示す計算方法となりますが、DIAASでは100%以上のスコアになった場合でも、超えた値を切り捨てずに評価するため、高品質なたんぱく質の価値をより正当に評価することが可能です。

出典:FAO proposes new protein quality measurement

 

以下が、たんぱく質の吸収率を表すスコアです(数値が高いほど優秀)

    DIAAS PDCAAS
ホエイ 1.09  1.0
カゼイン 1.0
ソイプロテイン 0.91 1.0
エッグプロテイン 1.0
ビーフプロテイン 0.92
ピープロテイン(えんどう豆) 0.82  0.89
ライスプロテイン 0.37 0.41

出典:Protein Supplementation of Beef Cattle to Meet Human Protein Requirements
http://www.proportionfoods.com.au/

 

 

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川本智也

川本智也

世界中にある様々なプロテインを飲み続けて15年の、プロテインマイスター。「1本の素振りより、1杯のプロテイン」が座右の銘

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