ヘッドスライディングについては、これまで色々と議論されてきました。
イチロー
かっこ悪い。アマチュアみたいなことをするな
宮本慎也
駆け抜けたほうが絶対に早いですか? ヘッドスライディングしたら、アンパイアがもしかしたら“セーフ”って、両手を広げてくれるかもしれないじゃないですか!
“世界の盗塁王” 福本豊
そもそもスライディングというのは、二塁や三塁、あるいはホームベースでのタッチをかいくぐる時に効果を発揮する。一塁はタッチプレー不要やし、走者も走り抜けることが認められているんやから、トップスピードの状態で走り抜ける方が当然速い。なんでわざわざ、グラウンドとの摩擦を生むような動作をする必要があるのか
というわけで、
結局どっちが良いのか、結論を出しましょう!
もくじ
検証実験は意味なし
昔からヘッドスライディングと駆け抜けた場合のタイムを計測する実験は何度も行われてきましたが、いまだにスッキリする結論にはいたっていません。
そんなのは当たり前です。
なぜなら、ヘッドスライディングは人によって上手い、下手が必ずあるから、下手な人がタイムを計測したところで結果は遅くなるに決まってるのです。
なので、検証実験で検証することは不可能なのです。
ついに決着!ヘッドスライディング VS 駆け抜け
最近の研究結果によると、ヘッドスライディングが上手な選手の場合は、ヘッドスライディングの方が速いという研究結果が、いくつか証明されています。これはもう紛れもない事実です。
が、あくまで「上手な人は」です。僕の見解としては、ほとんどの人はヘッドスライディングが「超下手くそ」だってことです(笑)
というわけで、
結局のところ「人による」というのが結論になります。
上手い人が飛べば少しだけ速くなり、下手な人が飛べばかなり遅くなる。ただそれだけのことです。
ですから、「実際はどっちが速いのか?」という問い自体、意味が無いし、考える価値もないのです。
なぜなら、どっちが速いかなんて、「その人」個人の能力次第だから。
では、上手い人だと何秒ぐらい縮まるか?
ここで、検証実験で検証したいところですが、残念ながらヘッドスライディングが本当に上手い人で計測した実験が過去に無いので答えようがありません。
なんせ下手な人の実験では結果は分かりきっているので。
ただ、ざっくりな予想では、どれだけ速くなったとしても0.01秒(ボール1個分)ぐらいだろうと言われているようです。
まぁ、これに関しては新しい結果が分かり次第、追記しておきます。
ヘッドスライディング VS ストレートスライディング
これは科学的には、ほぼ同じということが証明されているようですが、やっぱりスッキリはしません。
ですが、いずれにせよこちらも結論は同じで、
「その人」個人の能力次第でタイムは変わるということなのです。
というわけでまとめると、ヘッドスライディングは、ほとんどの人にとっては遅くなる。という結論になります。
結局、ヘッドスライディングは損?得?
ヘッドスライディングのメリット
・盛り上がる
・審判の気持ちを揺らす
ヘッドスライディングのデメリット
・ケガのリスクが高い
・馬鹿に見られる
・ベルトが切れる
結論
ある場面では必要だが、ほとんどの場面では必要ない。
さらに言うと、何度もやってると単純に馬鹿に見えるし、皆がやってるとチーム全体が馬鹿に見られる。よって、審判の気持ちも揺れなくなる。
基本的にはヘッドスライディングは、損することのほうが多いということです。
ケガをする確率は2倍に
「The American Journal of Sports Medicine」に掲載された研究で、2011年から2015年の間のメジャーリーグならびにマイナーリーグで選手が行ったスライディングをすべて記録。その結果、頭からスライディングする選手は、足からスライディングする選手と比べて、ケガをする確率がおよそ2倍に跳ね上がったとのことでした。
しかも、ケガのうちの8%は手術が必要なものでした。
使うなら練習しとけ
当たり前のことですが、試合でヘッドスライディングを使うなら、しっかり練習しておくことです。
ヘッドスライディングで怪我をする選手の多くは、ヘッドスライディングの練習を全くしていません。なのになぜか、試合になるとピョンピョン飛びたがるのです。
練習でやらないことは試合でもできない
練習してないことを試合でやろうとするわけですから怪我をするのは当然です。
もし使うかもしれないなら、練習しときましょう。そして練習の中で怪我しましょう。
ケガした高校生
先日、ある友人が経営している整体に行ったら、そこに、やたら変な歩き方をした高校生がいました。
パッと見、その外見からして高校球児であることは確実だったので、ちょっと話し掛けてみることにしました。
と、色々話してるうちに分かったのが、彼もう三年生で、ケガをしたのが二年生の夏でした。
だから、丸々一年をリハビリ生活に費やしてきたってことです。当然、彼は最後の大会にも間に合わず、引退していったわけですが…
結局3年間で残ったものは手のシビれだけ。そして、おそらく死ぬまで肩の違和感とは付き合っていくことになります。
マジで後悔しないのか?
この話を聞いてどう感じました?
僕がここで言いたいのは、「ヘッドスライディングなんか絶対にするな!」ってことではなく、
「本当に納得のいくプレーをしてほしい。」ということ。
もう少し具体的に言うと、「その行動は果たして”本当に”ベストなの?」という疑問。
ヘッドスライディングをする人から言わせると、「チームを盛り上げる為、セーフと判定してくれるかもしれない為、後悔しない為、だからこそこれが納得のいく選択なんだ!」と必ず主張するわけです。
ん?
ちょっと待って!それだけ?
それってさ・・・
一生懸命、遊んでる赤ちゃんと一緒じゃね?
赤ちゃんなんですか?
赤ちゃんっていうのは先のことなんか何も考えずに、とりあえず全力で遊んで、全力で泣いて、疲れたら寝る。絶対ケガするって分かってんのに何回も同じことをしてまた転ぶ。みたいな、超単純な生き物です。
発言がまさに赤ちゃんなのです。
大人なら
もう一歩、先のところまで思考してほしいと思うのです。その上で、やるかやらないか判断してほしい。
もう一歩先とはつまり、
「ヘッドスライディングをしたらケガをするかもしれない。もし、ケガしたらどうなるか?」
という、たったこれだけの思考です。
たったこれだけの思考なのに、考えようともしない。目の前のことしか見ないで簡単にケガをする。こんなのは大人とは言えません。
赤ちゃんは迷惑をかけるのが仕事です。でも、大人が迷惑をかけるのはシャレにならない、本当の迷惑になってしまうんです。
避けられるケガと、避けられないケガ
だって万が一、大怪我をすれば、
チームが痛い
ファンが痛い
家族が痛い
自分が何より一番痛い
いろんな意味で痛すぎるのです 。
そこで初めて後悔したところで遅い。反省するならサルでも出来ますから。
スポーツには、避けられるケガと、避けられないケガが存在しますが、ヘッドスライディングでのケガの場合、ほとんどのケースが「避けられるケガ」なわけです。
つまり、
するはずの無かった「無駄なケガ」ってことです。
ヘッドスライディングで登録抹消した中日の平田「後悔してません」
いや、チームが困るんだけどな…
一番いいのは禁止にすること
もはやヘッドスライディングをする選手が出てくるのは仕方のないことです。ですから、野球連盟には早くルールを変えて頂いて、1塁へのヘッドスライディングを守備妨害として禁止にしてくれればと思います。
そうすれば、怪我をする選手も相当数、減るはずですし、ベルトが切れる数も相当数、減るはずです。なので良いことだらけなのです。
一体、これまでどれだけの選手達が怪我して潰れてきたのでしょうか?
「自己責任だ!」確かにその通りですが、たかがスポーツで一生ついて回るような怪我をするなんて馬鹿げてます。もういい加減、変えてもいい頃じゃないでしょうか?
ヘッドスライディングまとめ
◆どっちが速いか?
「その人」個人の能力次第ということだが、おおよそ90%の選手は遅くなる。
◆損か得か?
ある場面では得するが、ほとんどの場面では損をする。
というような結論になります。
これらの結果と、ケガのリスクを考慮した上で、やるかやらないかの判断をするのが大人です。
もし、ヘッドスライディングを「俺は使ってく!」って決めたなら、その時はしっかりと練習をするべきです。先ほども言った通り、簡単ではないし、ケガのリスクも相当高いです。素人がいきなり本番でやったら間違いなくケガをすると思っといてください。
僕個人としてはあまりやってほしくありませんが、それでも自分なりに考え抜いた末、結果的に取り入れたのであれば、それはそれで立派な判断だと僕は評価します。
どちらにしても、「その場の空気感」に流されず、先を見据えた行動ができるよう、丁寧に考え準備することが重要です。
決めるのは、あなた自身ですから。
責任をとるのもあなた自身ですから。
どうぞこれを機に、よく考えてみてください。
ちなみに…
「若月さんが選手なら、どーしますか?」と問われれば、間違いなくこう答えます。
「ヘッドスライディングは、どんな状況でも絶対にやらないし、仮に最後のバッターになったとしても100%やらない。」
これが僕の答えです。
あなたはあなたなりに考えて、あなただけの答えを導き出せばいい。誰が何と言おうと、それがあなたにとっての正解です。
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