ハチミツとは?
ハチミツは人類初の甘味料
紀元前2500年頃のイングランド南部では、壺型の土器にハチミツが入れられていた痕跡が発見されていて、「ハチミツの歴史は人類の歴史」という、ことわざもあるように、とても歴史の古い食材なのです。
ハチミツが人々の食生活に広く浸透し始めたのは古代ギリシャ時代のことで、古代ギリシャでは多くの文芸作品、さらにはプラトン、アリストテレスといった哲学者の著作にもハチミツが登場しています。
現代社会においては、人が無理やり手を加えた人口甘味料が大量に出回っておりますが、歴史をたどっていけばハチミツこそ人類が初めて使用した天然甘味料だったのです。
ハチミツの成分
ハチミツとはミツバチが花の蜜を採集し、巣の中で加工、貯蔵したものをいい、自然界で最も甘い蜜といわれています。
ハチミツは約8割の糖分と約2割の水分によって構成され、ビタミンとミネラル類などの栄養素をわずかに含みます。
確かにハチミツは栄養満点ではありますが、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・有機酸・酵素などは、ほんのわずかしか含まれていないので、そこは騙されないように注意しましょう。
砂糖と何が違うの?
ハチミツと白砂糖のスプーン1杯分の比較です
白砂糖 | ハチミツ | |
カロリー | 49cal | 64cal |
糖の種類 | ショ糖 (ブドウ糖50%+果糖50%) |
ブドウ糖49%、果糖51% |
ショ糖量 | 98% | 1~7% |
吸収速度 | 1~2時間 | 20~30分 |
GI値 | 109 | 85 |
血糖値 | 急激に上がりやすい | 上がりやすい |
代謝の方法がちがう
米・麦・砂糖は、多糖類というタイプの糖なので、体内に入ると酵素の働きにより分解され、最後にブドウ糖となって吸収されます。
いっぽうで、ハチミツの場合は単糖類なので、主成分であるブドウ糖と果糖は、分解作業なしでそのまま吸収されるのでまったく胃腸の負担になりませんし、砂糖に比べて、素早く体内で吸収されエネルギーに代わるという特徴もあります。
ハチミツの消化吸収までの時間は、およそ20分と言われ、砂糖よりもはるかに速いスピードで吸収されます。
糖質の吸収時間を比較してみる
■2時間~4時間・・・多糖類
米、パン、パスタ、麺類、イモ類、馬肉、レバー
※ 多糖類を吸収するには単糖類まで分解する必要がある。
■1時間~2時間・・・少糖類(二糖類)
砂糖、甜菜、麦芽、水あめ、牛乳、母乳、人工甘味料
※ 少糖類を吸収するには単糖類まで分解する必要がある。
■20分~30分・・・単糖類
ハチミツ、果物、スイカ、トマト
※ 単糖類の場合はこれ以上、分解する必要がないので、あとは消化吸収するだけ。
このように、分解作業が多ければ多いほど、消化吸収までに時間がかかるわけです。
もっと言うと、固形物よりも液体系のほうが、さらに消化吸収スピードは速まります。
ちなみに、他の食べ物とも比較してみる
■4時間~6時間・・・タンパク質
肉、魚、卵、乳製品、木の実、種子類
■2時間~4時間・・・炭水化物
米、パン、パスタ、麺類、イモ類
■1時間~2時間・・・野菜
■20分~30分・・・果物
ハチミツのメリット
➀高速でエネルギーがチャージできる
ブドウ糖と果糖はともに単糖であり、それを主成分とするハチミツは、分解・消化の必要なしに、短時間でエネルギーを得ることができます。ブドウ糖と果糖の比率を比較すると、果糖の方がわずかに多い傾向にあります。
②内臓へのダメージが少ない
ハチミツは分解作業なしでそのまま吸収されるので砂糖などに比べて、まったく胃腸の負担になりません。これは、健康志向な人にもメリットですが、多くの糖質を必要とするアスリートにとっても、かなり大きなメリットとなります。
内臓の疲れは肉体の疲れへと繋がっていくので、ハチミツを上手に使っていくことで、トータルの疲労度合は大きく変わってくるはずです。
アスリートにもよく使われる
よくマラソン中の水分補給に、オリジナルのはちみつドリンクが用意されたりします。これはハチミツに含まれる糖分が、素早くエネルギーに代わることが理由です。
他の栄養成分なら脂質もタンパク質もエネルギー源となりますが、ハチミツの糖類ほど早くエネルギーに変えることができません。
ハチミツがアスリートに最適な理由
● 素早くエネルギーに変わる ● 内臓への負荷が低く体が疲れにくい ● 大量の糖質を毎日、砂糖から取るのは内臓へのダメージがデカ過ぎる |
③体を大きくしたい・ガリガリ卒業したい人達に
ハチミツの標準カロリーは砂糖よりも高く、100gあたり約300カロリーで、卵の約2倍、牛乳の約4.5倍に相当します。
よって、カロリーを多くとりたい人や、体を大きくしたい人にも有益な食品といえます。
ハチミツ業界のウソ
「ハチミツはビタミン・ミネラルが豊富です」はウソ
下のグラフは、ハチミツと、するめイカの100gあたりのビタミン・ミネラルの比較です。
『Diet Slism』より参考
http://calorie.slism.jp/103022/
この比較を見れば一目瞭然ですが、ハチミツにはビタミン・ミネラルなどほとんど含まれていません。
よく目にする「ハチミツはビタミン・ミネラルが豊富」こうした宣伝文句は、日本人の食習慣を乱す元となりますから、いち早くやめて欲しいと思います。
「ハチミツは低GI食品です」はウソ
『 GI 』とは?
GIとは、血糖値が上昇する速度のことで、数値が高いほど血糖値がグイーンと跳ね上がります。
「ハチミツは、低GI(低血糖負荷)食品だから、糖尿病予防にもいい」と、いろんなところで言われていますが、それも大ウソであって、GI値の一覧表を見れば一目で分かるように、ハチミツのGI値は砂糖より少し低いぐらいであって、実際にはさほど変わらない数値なのです。
甘味料のGI値 比較
白砂糖 | 109 |
グラニュー糖 | 110 |
氷砂糖 | 110 |
三温糖 | 108 |
黒糖 | 99 |
てんさい糖 | 65 |
ココナッツシュガー | 35 |
その他の甘味料 | |
ハチミツ(百花) | 85 |
メープルシロップ | 73 |
アガベシロップ | 28 |
玄米水飴 | 98 |
低GIのハチミツ発見!
ただ、基本的にはハチミツは高GI食品ですが、中には低GIのハチミツもあったのです。
ハチミツ(アカシア) | 40 |
上の表を見れば分かるように、同じハチミツでもアカシアのほうは、かなりGI値が低いです。これはなぜかというと、ハチミツは蜜源植物の種類によってGI値が異なるということが分かったのです。
【参考】みつばち健康科学研究所
https://www.bee-lab.jp/product/hatimitsu_2.html
ハチミツの種類によって使い分けが必要です
ハード系アスリートのようにあえて血糖値を一気に上昇させたい場合は「百花はちみつ」で。
とにかく健康を意識したい場合は「アカシアはちみつ」で。
というように切り分けて考えたほうがいいです。
ハチミツの使い方
➀ふだん飲んでいるプロテインに
いつも飲んでいるプロテインや、ドリンクにハチミツを入れ、ミキサーやシェイカーをすることで効率的に糖質を摂取することができます。
・トレーニング前、試合前のエネルギー補給に
・運動中の素早いエネルギー補給に
②おすすめは『ナッツのハチミツ漬け』
モデルなど健康意識の高い層に人気の栄養食として「ナッツのハチミツ漬け」または「ハニーナッツ」というのが日本国内で販売されています。
自分でも5分で簡単に作れる高級おやつ
ナッツをオーブンやフライパンでから煎りして水分を飛ばし、消毒した瓶に入れます。あとはナッツが完全に浸る量のハチミツを注ぎ入れるだけです。
漬け込んだ翌日から食べられますが、僕の場合は最低でも1週間はあけます。日を追うごとにナッツがハチミツを吸って、味がなじんで美味しくなります。
おすすめは、くるみやカシュ―ナッツなどが混ざったミックスナッツで、ノンフライ・ノンソルトのものを選びます。
③学校給食でおなじみ富士正食品の『ピーナツハニー』
【栄養素】
100gあたり
カロリー 440kcal
たんぱく質 11.6g
脂 質 26g
炭水化物 44.7g
糖 質 40.68g
【原材料】
落花生、みそ、グラニュー糖、ぶどう糖、大豆油、水あめ、はちみつ、白ごま
ちなみに、きなこと比較すると
100gあたり
カロリー 437g
たんぱく質 36g
脂 質 23g
糖 質 26g
比較すると、ピーナツハニーは糖質が多めで、たんぱく質は少なめなので、あえて太りたい人なんかは、ご飯と食べると良いかもしれません。筋肉をつけたいなら、きなこのほうが効率はいいです。
他にもいろんなものに使える
➀調味料としても抜群
魚料理に使うと、魚の臭みを減らす働きをし、肉料理に使うと、肉の組織に浸透し、過熱による肉の硬化を防ぎ、むしろ肉を柔らかくしてくれます。
②人類最古の酒「ハチミツ酒」
ハチミツと水が混ざった液体(蜂蜜水)の糖分が発酵すると、アルコールへと変化します。その結果出来上がるのが「蜂蜜酒」で、人類最古の酒とも言われています。ハチミツは発酵しやすく、水で割って温かいところに置くだけで蜂蜜酒を作ることができます。
③薬としても使われていた
昔の偉人達も、早くからハチミツの健康上の効能について認識していました。
中国の本草書『神農本草経』には野生のハチミツの効用について、「ハチミツはあらゆる薬とよく調和する。これを長く服用すれば、志を強くし、身体の動きが軽くなり、飢えることもなく、老いることもない」と記されています。
④ハチミツは古来、外科的な治療に用いられてきた
ハチミツには強い殺菌力があることが科学的にもすでに確認されており、ハチミツの持つ高い糖分は細菌から水分を奪って増殖を抑える効果をもたらし、ハチミツに水を混ぜて濃度を10分の1に薄めても殺菌力を発揮することが確認されています。また、殺菌作用をいかして防腐剤としても活用されていたそうです。
フランスの医学者ドマードによれば、
悪性の下痢を発症し極度の栄養失調状態にある生後8か月の乳児に水とハチミツだけを8日間、続けてヤギの乳と水を1:2の割合で混ぜたものを与えたところ、健康状態を完全に回復させることに成功した。
このように報告している。これは、ハチミツのもつ殺菌作用によって腸内環境が改善されたためと考えられています。
ガンにも効くらしい・・・
欧米には「ハチミツがガンに効くという漠然とした”信仰”に近いもの」が根強く存在し、動物実験によってハチミツに悪性腫瘍を抑制する作用があることを確認したそうです。
肝臓の機能を回復させるのに有効
ルーマニアのスタンボリュー氏の実験によると、124人の肝臓病患者がハチミツを摂取することにより全快したと報告されています。
⑤おまけに精力剤や化粧品としても
ハチミツの精力増強作用については、19世紀の科学者は懐疑的でしたが、20世紀に入りイタリアのセロナは0.9gの蜂蜜中に20国際単位の発情物質が含まれると発表しています。さらに美容としても古くから使われきた歴史があります。
安全性
1歳未満は注意
ハチミツの中には、全体のおよそ5%に「ボツリヌス菌」が含まれています。
通常は摂取しても、そのまま体外に排出されますが、乳児の場合だと、ボツリヌス菌に対抗する腸内細菌がまだ備わっていないため、中毒症状である「乳児ボツリヌス症」を引き起こし、最悪の場合、死亡することがあるため、日本では1987年に厚生省が「1歳未満の乳児には与えてはならない」旨の通達を出しております。
だけど、発育アップの報告もあり
一方で、小児科学者の詫摩武人による臨床実験によれば、ハチミツを与えられた乳幼児には、砂糖を与えられた乳幼児と比べて発育がよく、下痢などの疾病の発症率が低下。あるいは赤血球数および血色素量が増加するなど複数の好ましい現象が確認されたという報告もあります。
他にもハチミツが乳幼児の発育に好ましい結果をもたらすという多くの報告がされていることからも、親としては非常に悩ましいところです。
ハチミツ まとめ
ちなみに僕は普段、このハチミツを使用してますので一応リンク貼っておきます。味は、ほどよく甘く僕は好きです。
ハチミツ効果が乳幼児の発育にプラスになるとはいえ、実際に死亡事故なども起こっていることから考えても、やはりハチミツは1歳を超えてからが無難だろうと言えます。
ハチミツの効能についてはとても素晴らしいものがあり、使う方法についても色んなことに使えるので、まさにハチミツは万能食だと言えます。ただし、ビタミン・ミネラル系はほとんど含まれていないことは理解しておきましょう。
当たり前ですが食べ過ぎには、くれぐれも注意してください。1日の摂取量は、スプーン1~3杯(大さじ)ぐらいが基本です。
それじゃ皆さん
ミツバチに感謝の念を・・・
最新記事 by 若月 大 (全て見る)
- ついつい真似したくなる!カッコいい打撃フォーム最新版 - 2019年2月15日
- ハチミツは最強のエネルギー源だって知ってた?蜂蜜の効果、栄養、成分を暴露しよう - 2018年2月20日
- 【夏の必需品】クエン酸で疲労を遅らせろ!正しい使い方で効果効能を得よ - 2018年2月12日
この記事へのコメントはありません。